どうしたら、読者に恋してもらえるのか?
どうしたら、読者と愛を育んでいけるのか?
ブログをどんなコンセプトでやっていくべきかを考えていく上で参考にしたいと思い、本書を手に取りました。読んでみて「おしい!」という部分もありましたが、「恋をはぐくむルール」はとても参考になる考え方でした。
今回は『もうモノは売らない ―「恋させる」マーケティングが人を動かす―』をレビューしていきます。
ちなみに本の読み方や読書のルールはここにまとめてあるので、はじめての方はこちらを見てもらえるといいと思います。
今回読んだ本
とりあえず内容を3行でまとめると?
まずはざっくり要約します。
・マーケティングとは「感情脳」にささやく手段である
・正しいマーケティング戦略の方法(概念)は、至極アタリマエの4ステップ
・「恋心をはぐくむ9つのルール」は、どんなジャンルにも応用できそう
こんな感じ。ここからは読む上での下準備から核心部分の詳細まで書いていくので、上の3行を見て「あんまり興味ないなー」と感じたら進まなくていいと思います。
読書前の下準備
読み始める前に行っていた下準備を記録しておきます。
本書を読む動機・目的
・売れているマーケティング本の実態調査
・ブログを書いていく上で、コンセプトに沿って運営していくことの大事さを確認したかったため
自分のスタート地点
マーケティングの基礎、のような本は何冊か読んできましたが、マーケティング畑で育った人間ではないので、時々アップデートが必要だな、と思うことがある。その「そろそろ新しい知識ほしい」と思ったタイミングで出会ったのが本書でしたねー。
もうちょっと難し目の本もあったんですが、最近は「結局、シンプルに考えたほうが正解」という思考回路になっているので、難しすぎず、読みやすく、見た目も美しい本書に恋させられて、手に取りました(笑)。
要約すると?
マーケティングは感情分析
まず、人間の行動原理の話から。
人は基本的に3つの働きによって、物事を判断しているというのが本書の原則です。
反射脳…原始的な脳の働き。三大欲求だったり、危険を察知する能力だったり。人間が本能で行う行動をつかさどっている働き
感情脳…文字通り、感情。愛情を感じる脳の働き
理性脳…理論的に物事を考えて判断する脳の働き
3つの中で最も重要なのが、本書のテーマになっている「恋」の感情をつかさどる感情脳。この部位をいかに刺激していくかが、マーケティングにおいて最も重要だというのが、本書の主張になっています。
人間は理性的な生き物と考えられがちですが、ほとんどの場合、感情によって理性を欠いた行動を取っています。人間が理性によって生きているとしたら、肥満はいなくなるでしょうし、不倫で世間を騒がせる人もいなくなるでしょう。が、実際にはたくさんいる。
要するに、感情に働きかけることが人間の意思決定を促す上で最も大事になってくるというわけですね。
そして、恋は人に一貫性をもたらします。人は「一貫性のない人=だめな人」と思う傾向にあるので、なるべく一貫性を保とうとします。
ブランドに恋すると、同じブランドを継続的に買うようになる。
ここまで来ると、感情脳ではなく、反射脳によって、物事を判断するようになる。正確に言えば、買うことが習慣化されて判断することがなくなる。
だからこそ、入り口の「恋してもらうこと」が、マーケティングで最も重要だというわけですね。
正しいマーケティング戦略の方法って?
じゃあ、どうやって恋してもらうかというと、まずはしっかりと戦略を持つこと。相手どうこうの前に、自分がいい人間でないと恋はしてもらえない。恋されたとしても、相手がメンヘラである可能性が高い(笑)。なので、戦略を立てていく必要があるわけです。
じゃあ、「戦略ってなんなの?」って話ですが、以下の4つになります。
・目的を正確に把握すること
・中立性があること
・知識があること
・定量化のスキルがあること
なんとなくわかりますが、ちょっとぼやけた表現なので、より具体化してみます。
目的を正確に把握すること
自分が何を達成したいのか、明確な基準を持つこと。価値観、コンセプト、数値的な目標でもなんでもいい。明確な目的を持つことが、大事。
中立性があること
フラットな状態から始めること。ムダな制限や制約のない状態にあること。あと本書には書いてませんでしたが、科学的な根拠や客観的な指標から物事を判断する基準を作る、というのも大事になってくるでしょうね。これがないと「僕が好きなので結婚してください。異論は認めません」みたいなヤバいやつになってしまうんで。
知識があること
その分野において、斬新なアイデアを出し、正しい判断を下せる知識を持っていること。あとは勉強を続ける意欲を持つこと、もそうでしょうね。
定量化のスキルがあること
すべてを数値化する能力。客観的な指標から判断できる力を持つこと。
って感じになります。特に僕みたいな文系は「定量化のスキル」でつまづきがちなので、ちゃんと持って仕事なり、サイト運営をしていきたいところですねー。
恋心をはぐくむ9つのルール
じゃあ、具体的にどうやって読者の心をつかんでいけばいいのか? ここでは9つのルールが紹介されていました。
1.キャラをはっきりさせる
2.ブランドアイデアはシンプルに
3.ファンとの対話を重視する「聞く」「答える」
4.心にささやきかける
5.一貫性を持つ
6.退屈を避ける
7.真面目になりすぎない
8.無理に発信しない、黙るときは黙る
9.先々のスケジュールを前もって立てておく
どれも一流のブランドには共通していることですね。とはいえ、9つもあると結構覚えるだけでも大変なので、以下の3つを頭に入れておけばいいんじゃないかと思います。
1.シンプルなコンセプトに沿って行動する
コンセプトが決まれば一貫性を持って行動できますし、自ずとキャラ付けも決まってきます。一貫して行動できなかったり、キャラがぶれたりするのは、そもそものコンセプトが固まっていないということなので、その場合は根本を見直したほうがいいでしょうね。
2.遊び心を持つ
遊び心があれば真面目になりすぎないでしょうし、「人の喜ぶことをしたい」という欲求が根底にありますからファンとの対話も生まれる。「人に見られていることを意識しながら、自分のやりたいことをやる」ってことですな。
3.スケジュールはしっかりと
何かを続けていくためにはしっかりとしたスケジューリングだったり、戦略を立てたりする必要が出てきます。むやみに続けるのって結構しんどいですしね。
この3つを守れていれば、概ねうまくいくはず。「なんかうまくいかないなー」と思ったときには9つのルールに戻って自分の行動を分解し、修正していけばいいのではないでしょうか。
疑問に思った点
さて、ここで本書に対する疑問点というか「おしい!」と思う項目を上げておきます。
それは、ほとんど参考文献が書いていない点です。
読み始める前から「ん?」と思ったんですが、読み終わって改めて気になりましたね。
参考文献がないと、いわゆる「専門家の個人的な意見」という信憑性の低い部類の本になってしまう。なので、残念だな、と。本書の中でも「中立性=客観的な指標を見せること」が大事と書いているので、それなら論文やデータをもっと活用してほしかった、というのが本音です。
一定の主観は必要ですが、その主張を裏付ける科学的な根拠や実例はあったほうがいい。じゃないと、「本当にそうなの?」って思う人が出てきてしまいますからね。
自分への戒めとしても、意識しておきたいですな。
どう自分にどう取り入れる?
※ボク個人によるボク個人のために書いている項目なので、みなさん読み飛ばしてくださいませ
特にブログを書いていく上で、ブランディングの項目は意識していきたいですね。
1.シンプルなコンセプトに沿って行動する
2.遊び心を持つ
3.スケジュールはしっかりと
これが続けられるだけでも全然違うと思うので。
なので、記事のテイストが著しく変わったときは、「最近おかしくね?」と言っていただけると助かります(笑)。
こんな人におすすめ!
・マーケティングを学びたい人
→「モノを売る」というより「人の心をつかむ」にフォーカスした本。ブロガーやSNSでインフルエンサーになりたい方にとって、得られるものはあると思います
内容(本書より引用)
元「コカ・コーラ」全世界統括マーケティング・ディレクターが、
これからのマーケティングに必須となる視点を全解説する。
《「はじめに」より》
これは本ではない。
あなたが最短距離でマーケティングを学ぶためのマニュアルだ。
これを読めば、成功を最大化し、失敗を最小化するための考え方が身につく。
ここでは、マーケティングはなぜ、どうすればうまくいくのかを説明している。
荒れ狂う大海原のような世界を渡っていき、変化を推進するためのガイドとなるだろう。◉マーケティングの現場で今すぐ使えるアドバイスが充実
・製品の何をアピールすべきか
・アイデアはどこから得るべきか
・広告は誰に向けるべきか
・広告はどこに出すべきか
・消費者調査ではどう質問すべきか
・調査結果を読み間違えないために、何に気をつけるべきか
・競合他社が価格を変えたとき、どう対応すべきか
・プライベートブランドとどう対抗すべきか
……ほか◉具体的な事例の成功・失敗の分析も収録
・コカ・コーラは、なぜ味を変えないのか。
・ラテンアメリカでコカ・コーラの売り上げを毎年10%アップさせた戦略。
・洗浄能力を謳ったP&G社とくつろぐ女性のイメージを打ち出したアヤックス社。
台所用洗剤のシェアを伸ばしたのは……。
・著者の青春時代の憧れだったリーバイスのジーンズを、なぜ息子は欲しがらないのか。
・TVCMをやめたレッドブルが、売り上げを伸ばしたのはなぜか。
……ほか
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